たるみ治療について
たるみ治療を検討されている方は、どういった治療法があるのか、自分にはどのたるみ治療が適しているのかといった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
手術以外の方法でもある程度たるみ・シワの治療が可能になりました。
たるみ治療の選択肢が増える一方、そこから自分に合った治療法を選ぶのが難しくなってきています。
このページでは、たるみ治療の種類から、適切なたるみ治療の選び方、最後に当院のたるみ治療について分かりやすく解説いたします。
たるみ治療の種類
たるみというと皮膚がゆるんでいると感じる方も多いと思いますが、実際はそれだけではありません。皮膚のすぐ下にある脂肪が加齢によって変性してしまったり、筋膜のゆるみや、深部脂肪や骨の萎縮といった様々な要因で生じています。
こういった様々な要因によるたるみすべてをカバーできる治療法はありません。カバーできないからこそ、人によって選ぶべき治療方法が異なってきます。
例えば、たるみ治療の機器は、皮膚や表層の筋膜までの引き締め、引き上げ効果が期待できます。逆に言えば、萎縮した骨や組織を補うことはできません。そういったケースでは、注入剤が適しています。
では、たるみ治療の種類についてさらに詳しくみていきます。
顔面の老化イメージ
総合的・複合的治療についてはコンビネーションリフト
2. 眉のリフトアップ・上まぶたのたるみ:ウルセラシステム、ボトックスリフト、プレクサー
3. 目尻目の下の小ジワ:ボトックス注射、PRP(多血小板血漿)注入、コラーゲン注入、eCO2
4. 目の下のくぼみやたるみ:ヒアルロン酸注入、スムースアイリフト
5. 頬「ゴルゴ線」:ヒアルロン酸注入、レディエッセ注入(ボリュームアップリフト)、ウルトラVリフト
6. 法令線:ヒアルロン酸注入、レディエッセ注入、ウルトラVリフト、Vシェイプ、スムースリフト
7. 頬外側のたるみ:ウルセラシステム、ウルトラセル、ヒアルロン酸注入(リフト手技)
8. 頬中央のたるみ:ウルトラVリフト、ヒアルロン酸注入(リフト手技)、スムースリフト
9. マリオネット(口横のハの字たるみ):ウルトラVリフト、ヒアルロン酸注入
10. フェイスライン・頬下方のたるみ:サーマクール、デンシティ、ウルセラシステム、ウルトラセル、ソフウェーブ
11. フェイスラインたるみと脂肪過多:Vシェイプ
12. 顎ラインの鈍化:レディエッセ注入(ボリュームアップリフト)、ウルセラシステム、ウルトラセル、サーマクール、デンシティ
13. 肌の質感低下、しぼみ感:水光注射
14. 張り感低下:ボトックスリフト、ソフウェーブ、ジェントルYAG
15. 全体の張り感低下、目の下たるみや疲れ感:テノール、ソフウェーブ
16. 肌質老化、ちりめんじわ、軽度のシワ:eCO2フェイシャル、PRP(多血小板血漿)注入、水光注射、ラビアン
17. 老化予防:テノール
機器を使った治療
機器による治療は最も手軽に実施できる方法です。照射によって引き締め、引き上げ効果を出していきます。主に熱によって皮膚や皮下の筋膜といった表層から数ミリの深さの層までの組織を刺激したり、リモデリング(再構築)を生じさせることで、新しいコラーゲンを増やす、しっかりとした弾力のある構造を回復させることが可能です。
その選択肢は多く、痛みが苦手な場合や腫れ・かさぶたなどダウンタイムを避けたい場合などでも対応は可能です。もちろん強い効果を得るものほど痛みも強いものとなりますが、目指す結果と痛み・腫れなどのバランスを熟慮して決定していくことが良いでしょう。
そして同じ治療機器でも誰もが結果を出せるわけではありません。施術方法によって効果は大きく異なりますので、正しい適応診断と、照射テクニックが非常に重要です。よく「その機器は以前治療したけれども効果がなかったから」と選択肢に入れない患者様がいますが、適応があって、かつ正しく治療すれば効果が出ることも多々あるものです。
当院ではウルセラシステム、ウルトラセルZi、サーマクール、デンシティ、ソフウェーブ、テノール、Vシェイプ、ジェントルYAGなどをはじめとした数多くの治療機器を導入しています。
適した症状
- ・フェイスラインのたるみ
- ・目の下のたるみ
- ・目の下のしわ
- ・まぶたのたるみ
- ・肌全体の老化予防
主な機器・治療法
注入剤を使った治療
注入剤は世界的に現在非常によく用いられる治療法です。異物ということが心配な方もいらっしゃいますが、多くの製品が既に厚生労働省の承認を取っており、怪しいものではありませんし、未承認の製剤でも世界各国での承認手順を踏んでおり安全基準が一定に守られています。
その効果は即時性があります。以前は膨らませるだけの効果を主と考え、いわゆるくぼみを埋めるパテのような考え方でしたが、近年加齢による顔の萎縮に関する機序が解明されるにつれ、様々な新しい概念が登場してきました。現在では加齢による輪郭の変化を若く作り上げるような施術が主となっています。入れすぎによる変形などが起こらないように配慮し、伸びた皮膚のぶんまでも膨らませるような施術手技は用いていません。「若い輪郭」を作り上げる手技を用います。
また顔面の各種構造を支える靱帯のゆるみを補強することでリフトアップする手技もありますし、同様に筋肉の構造を補強して持ち上げる手技もあります。
主な製剤にはヒアルロン酸、ハイドロキシアパタイト(レディエッセ)、コラーゲンなどがあります。その他に、加齢によって過剰に動いてしまっている筋肉を緩め、表情ジワを改善する製剤ボトックスもあります。
適した症状
- ・局所的なくぼみ(ほうれい線・目の下・こめかみなど)・しわ
- ・輪郭の崩れ
- ・加齢による骨の萎縮
- ・全体的なたるみ
- ・表情ジワ(額、眉間や目尻)
- ・肌の張り感低下
主な製剤
- ・ヒアルロン酸
- ・レディエッセ(ハイドロキシアパタイト)
- ・ボツリヌストキシン製剤(ボトックス・ボトックスリフト)
- ・コラーゲン(アテロコラーゲン)
- ・PRP(自己多血小板血漿)
- ・水光注射
糸による治療
糸による治療はよりダイナミックに顔の皮膚、皮下脂肪などを動かします。大きなボリュームを一塊にして持ち上げることが出来るので変化も大きく、即効性があります。ただ、引っかけて引き上げるトゲ付きの糸は入れた後の違和感が生じること、痛みの問題や持続性などを考え、最近ではトゲのない糸を多数挿入して、網目のように脂肪に張り巡らせ、ピンのように固定をするという手技をおこなっています。ウルトラVリフトと一般には呼称される施術ですが、実際の手技としてはまったく別です。当院で発案し、学会等でも発表している方法ですが、自然に(引き上がるのではなく)持ち上がる効果が得られます。吸収される糸ですので、長期的に残存するリスクはありませんが、糸自体が吸収されるにつれ効果も少しずつなくなっていきます。
手術
手術は非常に効果が大きく客観的変化が得られる治療法となります。しかし腫れや内出血、形状の安定までにかかる期間などは他の方法に比較すると遙かに長く、また平面的な顔のアジア人はフェイスリフト手術のような引っ張る手法では効果が出にくいとされています。そのためより大がかりな手術をしないと思ったほどの結果が出ないこともしばしばです。
よって適応をしっかりと見極めて治療をしています。一方で、まぶたのたるみは手術以外ではなかなか結果が出にくいために、当院では眉下を切開する手法、二重まぶたのラインからたるみを取る手法などを用いた治療をおこなっています。
しかし手術は皮膚のゆるみは解消できても、本当の意味で若返るのではありません。あくまでたるみを取る治療法です。やはり萎縮してしまったボリュームは注入等で補う必要がありますし、頬正面のような中顔面といわれる領域では効果に限界もあります。
適した症状
- ・フェイスラインや下顔面のたるみ
- ・上まぶたのたるみ
- ・下まぶたのたるみ
「機器によるたるみ治療」と
「外科手術」の違い
「たるみ」に対して最も有効な治療法は何でしょうか。
最も有効な治療法は「手術」です。これは美容外科医として言い切れる事実です。私も多数の手術を経験し、やはり手術に優るものはないと思います。
しかし、高い効果が得られるのは事実としても、1ヶ月ほど腫れが続くなど、ダウンタイムというものがあり、仕事をしながら治療を受けることは不可能です。
また手術は若返っているのではなく、あくまでたるみを取るだけです。たるみやシワが良くなっても、20代のように若くなるわけではありません。
それに対して、機器によるたるみ治療は、手術では得られない、肌の張り感やボリューム感の改善、若返りなどの手法も登場してきています。
「機器によるたるみ治療」と「外科手術」にはそれぞれにメリット、デメリットがあります。
当院では、ご本人のご希望に沿って、様々な手法を選択できます。強いものほど効果が上がるのは当然ですが、そこまでは求めていない方にも適した方法はあります。
それではまず、たるみ治療の種類について詳細に解説いたします。
たるみ治療の選び方
たるみ治療においては、どの部位がどのように老化しているかを把握することが重要です。実際には診察に来ていただいて、お顔の状況を見て最適な方法を複数の選択肢をもって提案しています。以下にその目安を解説します。
STEP1 たるみの原因を知る
前述のように、たるみは皮膚やその下の脂肪の下垂、筋膜や靱帯のゆるみ、深部組織や骨の萎縮が原因で生じます。風船で喩えると、ゴム自体が伸びて、かつその弾力を失ってしまうこと(皮膚やその下の脂肪変性)、空気が抜けてしまうこと(深部や骨の萎縮)になりますので、両者を改善しないといけません。伸びたゴムのぶんまで空気を入れてしまうと、若い頃より顔は大きくなってしまいます。実際にご来院いただいた際には、ご自身がどのように老化しているのか、たるんでいるのかを診察して説明をします。
STEP2 治療法を選択する(提案)
たるみの原因に応じた治療法を選択する必要があります。緩んだものを引き締めるには機器で熱を与えてコラーゲンを再生させる必要があります。痛みがあるほどにしっかりと再生されますし、再生される形状などにも機器の違いがあります。痛みがないものでは一時的にコラーゲンの炎症で張りを与えるもの、コラーゲン産生を促す刺激を与えるものなどがあります。
一方で萎縮した組織を元に戻すことは出来ませんので、注入剤の代替物で補う必要があります。靱帯などのゆるみは注入で支えることも出来ますし、糸で物理的に構造物を持ち上げることも考えます。最適なものを含めて複数の選択肢を提示させていただきます。
STEP3 自身に合ったものを考える
実際の治療においては、痛みが苦手、異物は入れたくないなど様々なご要望があるでしょう。腫れや内出血などのダウンタイムも考慮する必要があります。ただし、美容医療は医療ではあっても主体は患者様側にあります。一方的に治療法を押し付けることはしません。もちろん魔法のような治療法はありませんので、どこまでのことに手を出せばどれほどの結果が得られるのかを理解する必要があります。そのうえで、何を選択するのか、予算や通院頻度なども加味しながら相談をしていきます。よって、漠然とした理解で構いませんが、各種治療法の効果を把握することも重要です。
STEP4 組み合わせる
すべての効果を一つの治療法で得ることは出来ません。最重点とする部分を改善するように治療法を絞っても構いませんし、複合的に自然な若返り効果を得るために各種治療法を組み合わせることも良い方法です。一つ一つの効果を確認しつつ、時期を変えつつ追加していっても良いと思います。徐々にステップを上げていく考え方もあります。またコンビネーションリフトと銘打って、バランス良く各種の方法を同日に一気に実施する方法もおこなっています。
部位別たるみ解説
「たるみ」というものはすべてを一括りにして論じることは出来ません。顔面の老化の仕組みを理解し、何がたるんでいるか、それが皮膚なのか筋肉なのか、脂肪なのか、または骨の変形によるものなのかなどを総合的に判断し、それに応じた治療をすることによってはじめて満足いく効果を得られるのです。
以下に部位ごとにたるみの原因や治療法について解説いたします。
目の下のたるみ
原因
目の下のたるみに大きく関係するのは眼窩、いわゆるアイホールです。この部分の周囲は骨であり、加齢とともに縮んで萎縮する骨のために眼窩が大きくなります。その中に詰まっている眼球と周囲を覆うクッションの役割の脂肪は、支えを失って下方へ飛び出してきます。もちろん表面を覆う筋肉(眼輪筋)と皮膚も加齢により緩んでいきますので、これらが相まって目の下のたるみを形成します。そのために、まつ毛の直ぐ下の部分は膨らみ、人によっては「目袋」と称される膨らみが出てくる一方で、骨のある部分(目袋のすぐ下)はどんどん凹んでいきます。目の下は、加齢によってその上方部分は膨らみ、下方部分は凹んでいくのです。
適した治療方法について
飛び出してしまった脂肪を除去・移動するには手術的に修正することになりますので、少し大がかりです。たるんだ表面の皮膚や筋肉も同様です(ハムラ法という手術によって両者とも改善します)。
手術以外にはスムースアイリフトという、Er:YAG & Nd:YAGレーザーを用いて結膜側および皮膚側から皮膚から筋肉に張りを取り戻させる方法があります。同様のものとしてソフウェーブによる皮膚の引き締め効果を出す方法もあります。
しかしながら、骨の萎縮による物理的な形態の変化を修正するには、代用となるものを作る必要があります。ヒアルロン酸注入がもっとも代表的な手法です。直後からはっきりとした変化を得ることが出来ますし、控えめに注入すれば違和感もほとんどありません。自然に仕上げることを常としています。スムースアイリフトとの併用によってさらに良い結果を得ることも出来るでしょう。単にくぼみを埋めるような注入治療では上方の脂肪の突出、垂れ下がりは改善しませんが、萎縮した骨の形状を意識した注入法によって目袋さえも少し持ち上げていくこともできます(限界はあります)。
ヒアルロン酸は安全に体内に吸収されていきますが、人工的なものは抵抗があるという方であれば、PRP(多血小板血漿)を用いる方法もあります。ご自身の血液から取りだした血小板を濃縮して注入する治療法であり、傷を修復する時に様々な因子を出してコラーゲンや組織を再構成させていく血小板の作用を利用したものです。ただし、膨らむまでの力はないことが多く、小じわや軽いくぼみまでの改善とお考えください。
当院のたるみ治療
上図をご覧になってお分かりいただるように、他院と比較して実に様々な治療機器、治療法を導入しています。
ここまで機器を揃える理由は、機械によるたるみの治療は手術と比べると限定的な効果であり、私自身どうしても納得できる治療をおこないたい、そのためです。1種類の機械のみを使用し、機械導入費を早くとり戻す方がクリニックにとって良いのは誰でも分かることかと思いますが、それではどうしても、状態によって使うものを変えるという、手術であれば必ず行うであろうという選択ができない状況なのです。たるみ=ただ一つの治療、それでは不十分だと思います。通常の美容医療ではたるみの治療器として1種類だけで十分かもしれませんが、機器の特徴を理解するほど細かく分け、症状により最適なものを選択する方がより満足度が高くなります。
これら多くの機械・注入剤に関して、当院では国内での照射方法を作り上げ、医師向けセミナーで講演したり、学会発表をするなどして、そのメリット・デメリットなどを検討してきた経験があります(学会発表の詳細はこちら)。
また各治療法においてアジアにおけるキードクターに指定されていることから、技術レクチャーをするだけではなく、海外における新しい技術、情報もいち早く手に入れ、より良い治療を目指しています。
ただし、機械による治療も万能ではありません。今まで述べたように、手術と同じ結果が得られるものではありません。ご自身で鏡を見ながら手で顔を引き上げる、そのような変化は機械で出すことはできません(広告上は出来るようなイメージを植え付けているクリニックも多いものですが)。
効果が大きいのはやはり注入系の治療です。これは注入物により内部のボリュームを増やす方法ではありますが、最近では糸によって引き上げ、たるみを解消しようという手法(ウルトラVリフト)もあります。ただし、本質的に肌のコラーゲンを増やしたりという点では機器の方が優れていますし、テノールのように新陳代謝を促進し、肌全体の状態を良くし、老化予防に役立つ手法もあります。
上記が最も一般的な使い分け方針です。もちろん、その他にも、ご希望に応じて選択肢はたくさんご用意しております。
ただし、いわゆるIPL(フォトフェイシャル、フォトセラピー)やレーザーフェイシャルなどは肌の張り感が出るものの、たるみには効果がありません。この治療をたるみ・シワの治療としてお受けになっている場合、あまり意味はないと言えるでしょう。これらはたるみの治療器と組み合わせることで、メリットである張り感や色の改善を有効に引き出すことができます。
つまり、何となく全体のたるみ感が気になってきた、漠然とした将来への不安があり、アンチエイジングを中心に効果を得つつ予防をしたいとお考えの場合、韓国の有名タレントたちが実施したことで一般的になったT&T technologyに基づいた方法があります。
これは表面的な張り感をフォトセラピー(当院ではICON)で対応し、同時にテノールで肌のたるみを改善していこうという、全体的なアンチエイジング手法です。費用は1回42,000円ですが、総合的な治療と予防という優れた面があります。
最後に、機器による最大の治療効果を出したい人には、サーマクールとウルセラシステムの併用療法をお勧めしています。二つの足りない部分を補いながらポイントを絞って照射する方法で、日本でも数件のクリニックしか実施できない手法になります。患者満足度が非常に高く、今の段階では最も強力な機器による治療で、効果持続は1〜2年です。
たるみやシワには様々な治療法がありますが、ベストな選択することができるかどうか、これが最も重要と考えます。