スキンケアの実際
スキンケアは皮ふを健康に保つためのケアです。もちろんこの中には皮ふの病気であるニキビやアトピー性皮膚炎などの治療補助としての要素も含まれます。治療を施す上でスキンケアを無視した指導は、結局はそのときの症状を抑えるだけであり、長い目で見ると治癒できないことになります。皮ふの質(肌質)を根本的に変えることは困難ですから、普段のスキンケアを十分考えた上での治療が重要です。当然のことながら、スキンケアを中心として、悪化したときに医療行為としての治療を実施することが最善の方法です。
さて、病気のお肌のみならず、通常の方においても肌荒れや乾燥、脂性、しみ、しわ、そばかす、毛穴の黒ずみ、毛穴が目立つ等々お肌の悩みは数知れません。これらは化粧品で対処できることも多いのですが、現代医学の進歩によって、特殊な導入治療やピーリング、レーザーなどで改善することが可能となってきました。
知らなければ治らないと思っていた様々なお肌の悩みの多くが解決可能であるということを、皆さんに十分に知ってもらいたいと思います。
スキンケアは通常は皆さんご存じのように、洗浄・保湿・保護に大別できます。つまり皮ふを痛めつける有害な刺激を取り除き、保湿して角質のバリア等を正常に保ち、きめを整え、刺激から守るというステップが必要です。化粧品はこれらの役割を十分に担えるように開発されています。さらには医薬部外品といって美白成分などを中心とした積極的なスキンケア、医療に近いことが可能な製品も昨今の美白ブームに伴い増えてきました。
一般的には化粧品会社の勧める方法に沿えば、安心です。しかし効果は即効性のものと徐々に出現するものがあるので、焦らず信じて、説明書きを守って使用するのがよいと思います。もちろんあくまで健康な肌の少しのトラブルくらいまでが適応ですから、しみやしわなどが消えてなくなるなどということはありません。
スキンケアの基本は、良質な洗顔料で汗・あぶら、汚れや化粧を優しく取り除き、すぐに角質の保湿(水と油両方)のための化粧水と乳液をつけ、新陳代謝を高める成分や紫外線を遮る成分、ほてりを抑える成分を皮ふに与えることです。あくまで長い期間(少なくとも3ヶ月)にわたって同じものを使うことが重要です。1〜2週間使って効果がないなどといって、化粧品を次々に変えていくことは全く意味がありません。もちろんかぶれなど皮ふの異常が起こったらすぐに化粧品を中止することは当然ですが。
さらに重要なことは肌の状態はストレスや睡眠時間などに左右されます。特に女性はホルモンのバランスなども崩れやすく、排卵日後からの黄体ホルモンの増加に伴う生理前のニキビ悪化などを招きます。
化粧品を何も使わないという人もいます。実は洗顔料・石鹸などを一切使わず生理的に分泌される皮脂や角質間脂質などを肌にきちんと残してあげれば、何も付けなくても構いません。明治以前には洗顔料などはなく、化粧水や乳液もありません。朝晩水で洗うくらいで本当は十分です。しかし、皮脂が多ければ外見は決して綺麗ではないですし、臭いも発生します。健康と美容は別物です。ただ洗顔料を使用すると肌に備わった油分が失われるので負荷がかかります。もちろん肌の強い人では良いかもしれません。しかし、同じことをしていても、顔中シミだらけになったり、シミ一つない人はいるものです。肌質によるのです。お酒に強い人と弱い人がいるのと同じですね。でも、肌質として傷みやすくても、きちんとしたスキンケアをしていれば、肌は保たれます。
ご自身のスキンケアでも十分管理できない、もしくはトラブルが生じている場合にはスキンケア治療を行います。最もポピュラーで利用価値が高いのはメソアクティスです。肌にコラーゲンなど保湿成分を強制的に導入し、保湿力のある健康な肌へと導きます。またくすみ感などが出てきた場合にはwet peelと称されるハイドラジェントルという機器を用います。デリケートなピーリングを行いつつ美容液を導入します。