切らない脂肪吸引
切らない脂肪吸引とは
皮下脂肪を減らす最もポピュラーかつ有効な手段は脂肪吸引の手術です。しかし、これは吸引の管を入れるために皮膚に穴を開けますし、表面は何ともなくても、脂肪の層はかなり激しく損傷します。手術後の痛みもありますし、新聞などで報道されているような死亡事例、つまりリスクがあります。多くの方は脂肪吸引まではしたくないが、ぜい肉を減らしたいとお考えになっていると思います。
近年、機器の技術革新によって、脂肪を選択的に破壊する機器がいくつか登場してきました。水と油の凍結する温度差を利用した凍結治療機器「クールスカルプティング」、レーザーの波長を脂肪に選択的に吸収されるようにした脂肪融解レーザー「スカルプシュア」、超音波によって脂肪の細胞膜のみを傷つけていく剪断波治療機器「アクセントウルトラ」などです。
それぞれに特徴があり、ご自身の脂肪のつき具合等によって最適な機器を選択していくことにより、最良の結果を得ることができます。
これらの機器は治療後の日常生活は普通にできますし、仕事を休んだりする必要はありません。最新の機器を用いた選択的な皮下脂肪破壊であるため、その効果は「切らない脂肪吸引」と称されます。
凍結治療機器とは
凍結治療機器クールスカルプティングは、皮膚と皮下脂肪の凍結(結晶化)温度の差を利用します。皮膚の主成分である「水」と皮下「脂肪」を比較すると、低温かつ長時間においては皮下脂肪のみ凍結されます。実際に施術直後には皮下脂肪がシャーベットのように凍結していることがご自身でも分かります。凍結した脂肪は、すぐに再液体化しますが、ダメージを受けた脂肪細胞は6週ほどかけて徐々に壊れていき、体外へ排泄されます。施術においては吸引圧をかけて皮下脂肪の多い部分を吸い込みながら凍らせるため、ポッコリと膨らんだような部分には非常に有効です。現在、適応があれば最も強力な皮下脂肪減量装置です。
レーザー治療機器とは
レーザー治療機器スカルプシュアはレーザーを用いて皮下脂肪のみを破壊する機器です。皮下脂肪にあまり多く吸収されると一気に「焼けて」しまうため、程良い吸収率の波長を持つレーザーで、時間をかけてじっくりと光・熱を与えていきます。照射するだけなので皮下脂肪がつまめないようなレベルでも治療が出来ます。つまり加齢によってついた余分な脂肪、ダイエットしても落ちないような皮下脂肪などに有効です。
超音波剪断波機器とは
超音波剪断波機器アクセントウルトラは超音波のうち捻り切る力を持つ横波剪断波を用いて皮下脂肪の細胞膜を破壊する機器です。共振という現象を利用して、大きなサイズの脂肪細胞を激しく揺らし、細胞膜に傷をつけていきます。繰り返しの治療によってダメージを与えられた細胞が徐々に機能を失い、減少していきます。それに加えて高周波を併用照射し、リンパドレナージを促し脂肪の排泄を早めます。傷ついた細胞が脂肪を溜めこむことができないという作用を利用しますので、ダイエットなどとの相性が良い治療器です。
切らない脂肪吸引の効果
脂肪吸引と同じく、ダイエットが目的ではありません。体重減少は殆どありません。例えば10キロ減量するとなると、取らなければいけない皮下脂肪は肉の塊ステーキ10キロのサイズの2倍以上(比重が軽いため)です。
気になる皮下脂肪を減少させてボディラインを整えていくものです。海外ではbody shaping、body sculptingなどと言われています。身体にある余計なぜい肉を減らしていき、彫刻のようにボディラインを美しく整えるのです。治療前のデザイン、そして機器の選択によって、ご本人にとって最も効果が大きくなるようにしていきます。
つまり対象となるのは、若い頃には穿けたパンツがウエストやお尻の脂肪によって穿けなくなった、パンツの上に肉が載ってしまって格好悪い、二の腕がたるんで振り袖のようになった、ブラジャーの上に脂肪が載ってドレスが着られない、などなど。。。。案外日常で悩んでいるようなものなのです。太っていなくても隠れ肥満ともいうべきこれらのお悩みを、彫刻のように余計な脂肪・ぜい肉を除去することで改善していくのが、「切らない脂肪吸引」という治療法です。
脂肪吸引との違い
切らないわけですから、全ての機器において基本的に傷跡は残りませんし、痛みも軽度です。麻酔などを要さず、治療当日から普通に生活ができます。気軽にできる治療法となります。但し、複数回治療となり、その結果も脂肪吸引には及びません。ボディラインをデザインしていくような治療です。
当院取り扱い機器一覧
ゼルティック社クールスカルプティング
凍結脂肪融解機器。皮下脂肪のついている比較的盛り上がった部分を機器で吸い込みながら冷却していきます。凍結温度は皮膚(主に水分)と皮下脂肪(脂)では大きく異なるため、皮膚にはダメージを与えずに脂肪だけを凍らせることができます。治療直後は治療部分がシャーベットのようにシャリシャリとなっています。10分程度で元に戻り、ダメージを受けた脂肪細胞は数週間かけて徐々に分解、吸収されていきます。瞬間的に脂肪細胞が死んでしまわないように特許技術で温度コントロールをしています。それによって治療後の痛みやトラブルを回避し、緩やかに経化させていきます。ぽってり膨らんだお腹など、はみ出したぜい肉を取るのに有効な機械です。一方で吸い込めないような少量の皮下脂肪の部位などでは治療自体が難しいのが欠点です。
スカルプシュア
世界初のレーザーによる脂肪破壊機器。脂肪細胞に選択的に吸収する波長を用いて、皮膚にはレーザーが殆ど吸収されず、2.5センチほどの厚み・深さまで皮下脂肪を加熱します。過度の加熱を防ぐよう強力な表面冷却を同時におこなうため、治療後でも皮膚には熱感はありません。脂肪だけが選択的に破壊される装置です。その画期的な機構によって米国では高い評価を受けています。当院はアジア人での効果判定などのデータ収集をメーカーと共同でおこない、海外の学会での講演もしてきています。特徴はつまめない脂肪でも破壊できる、つまり細身のからだでも気になる脂肪、隠れ肥満などにも有効であること、皮膚直下の脂肪から減少してくれるので、皮膚のたるんだ状態にも有効なことなどです。欧米人ほど肥満度が高くないアジア人でもぜい肉を除去できる、身体のあらゆる部位に装着可能な機構を持つことなどが特徴となります。
アクセントウルトラ
超音波のうち、剪断波と言う捻り切る作用の強い波を用いる脂肪破壊機器です。ワイングラスを声で割ることができる人がいるように、音というのは共振を起こし激しく物質を振動させることができます。脂肪細胞は皮膚や血管などの細胞と比較して遙かに大きなサイズであり、内部には大きな液状成分「脂肪」を溜めこんでいます。そのサイズに合わせた音の周波数をチューニングして照射することによって、脂肪細胞の細胞膜に亀裂が入ります。これを繰り返して施術することで細胞の機能を失わせ、徐々に脂肪を減少させていきます。さらに効果を増し、リンパドレナージを促すために、高周波も同日に照射していきます。
身体のどの部位でも施術可能で、特に顔面ではVシェイプといって引き締め効果も得ることができるのが特徴です。運動などとの相性が良く。傷ついた脂肪細胞が脂肪を溜めこむことができないのを利用して、積極的ダイエットなどで効果をさらに増してくことができる機器です。
治療機器 | 痛み | 効果 | 適した部位 |
---|---|---|---|
クールスカルプティング | 最初の数分不快感 | 最も強い。2回程度で効果。 |
膨らんでいる部位、大量につまめる部位。 腹部 |
スカルプシュア | 間歇的に軽度 | 2回以上の治療を要する。 |
加齢などで生じた体型の乱れなど何となく着いている皮下脂肪に有効。 二の腕、大腿、おしり、脇腹や背中 つまめないような、たるんだお腹 |
アクセントウルトラ | 熱い痛みを軽度感じる |
5〜6回を要する。 ダイエットの増強作用が強い。 |
たるんでいるような部位。 おしり、顎下、下腹 |
部位別切らない脂肪吸引
実際に診察をした上で治療機器を選択していきます。ご希望によっても治療法は変わっていきます。ただ、イメージを掴みやすいよう、典型的な例を下記に記載します。
お腹
バルジと言って、つまめるような脂肪の付き方をしている場合には凍結脂肪破壊のクールスカルプティングが有効です。ぽっちゃりしたお腹を凹ませます。一方で全体的に脂肪がついている場合や、ウエストのラインを整えたい場合にはレーザーのスカルプシュアを用います。
セルライトが多い、硬い感じの腹部には超音波剪断波のアクセントウルトラが有効となります。
お尻
ボリュームがあって大きなお尻であれば、凍結脂肪破壊のクールスカルプティングを用い、全体に少し垂れ下がったような印象のある場合にはレーザーのスカルプシュアを用います。
顔
顔の場合にはたるみとの兼ね合いもあり、また使用できる機器が限られます。脂肪を減少させながら皮膚への引き締め効果を有するアクセントウルトラを用います。顎周りの脂肪のボリュームや頬下方のふくらみなどに有効です。
料金
クールスカルプティング: 1部位 6万円(税別)
スカルプシュア: 1部位 6万円(税別)
アクセントウルトラ: 1部位(10×10㎝) 1.5万円(税別)