サーマクールの副作用について
全ての治療においてリスク、副作用などトラブルの可能性が全くないとは言い切れません。残念ながらサーマクールにおいても副作用があります。
サーマクールは安全性が確立された治療機器
サーマクールは高周波機器であり、人体内に高周波を流して、局所的な熱を発生させます。我々美容医療の分野においては安全性が確立された治療機器であり、理論上もそして長期の世界的な使用経験からも、その効果に比較してリスクが少ないことが評価されている機器です。
サーマクールは、人体における部位による高周波の流れやすさ、誘電率などの違いによって、原則として表面にはダメージを与えずに、線維性の組織(皮膚の深部=真皮や皮下脂肪内の線維組織)を主として加熱していくのですが、まれに皮膚表面に熱が発生してしまうことがあります。通常は表面に発赤が生じる程度ですが、それが過剰となると熱傷を引き起こします。生じた場合でも、殆どは米粒大の水疱が生じる程度にとどまり、1週間程度で治癒します。それ以上の大きな熱傷が起こる可能性は殆どないと考えても良いでしょう。
効果が出るからこそ生じる副作用もある
一方、このような物理的な、理論上も起こりえるリスク、副作用とは異なって、効果が出るからこそ生じる副作用もあります。サーマクールはskin tighteningつまり皮膚を主として引き締める機器です。「小顔効果」を感じる事もあります。引き締めると若々しくなる人が殆どで、フェイスラインが整います。しかしながら、頬骨のあたりがこけてしまったような人に対して実施をすると、フェイスラインが引き締まることによって、頬骨部から顎にかけて連続してつながり、小さく締まってしまうために、やつれたような印象を与える事があります。
ですからもともと老化で顔がやつれている人が実施を希望される場合には、このようなことが視覚的に起こりえることを十分に理解する必要があります。トラブルではなく、効果が出るからこそ、引き締まるからこそ、全体的な体積が減ってしまう=やつれて見えるのです。これを悪い事として、副作用として捉えるかどうかは本人の主観によるとは思います。もしご自身が痩せた顔立ちであれば、きちんと理解する必要はあります。
もちろん丸いお顔やかなり皮膚の垂れたお顔においては、この引き締め作用、小顔効果が満足度にもつながります。
次の治療までの間隔が大事
またその原理上、皮膚の深部を加熱するということは、その部分は軽度破壊されます。見えない内部の傷をつけるわけです。破壊されたもの(皮膚の主たる構成蛋白であるコラーゲンなど)が傷の治る機序(創傷治癒過程)と同じような原理で再生、つまり再構築し、新しいコラーゲンが出来るために、皮膚は引き締まっていくのですが、あまり頻繁に繰り返すと、治った後も「跡」が残ります。
例えて言うなら、膝を擦りむいても1回なら跡形なく傷跡は消えますが、頻繁に何度も擦りむくと傷跡が残ります。正常なコラーゲンではなく、傷跡のコラーゲン構造になってしまうと皮膚の硬さが生じるのです。
きちんと前回の熱損傷ダメージから回復した後に次の治療をしなければなりません。
まとめ
ほどほどであれば、たるみにくさや引き締めになりますが、過剰になると弾力の低下にもつながります。定期的に実施することが老化の予防にもなるサーマクールですが、短い期間で頻回に繰り返すことで皮膚の質がダメージを受けてしまうことも覚えておくべき副作用です。原則として1年以上の間隔、最低でも6ヶ月以上の間隔を空け、前回のダメージから完全に回復した状態まで待ってから次の照射を実施するべきでしょう。