にきびの治療の新装置:スムースビーム
にきびの治療に関しては、絶対に治るというものはありませんし、内因性、スキンケアによるもの、年齢によるものなど様々な要因が関与します。
ケミカルピーリングやレチノイン酸、ビタミンC等、近年様々な治療法が行われるようになっても、何をしても治らないにきびもあります。沢山のクリニックを受診、治療してもにきびが治らない人もいらっしゃると思います。そういう人にスムースビームをお勧めします。
このスムースビームは、アメリカでしわ取りレーザーとして開発されてきた経緯がありますが、真皮に熱を与え、皮脂腺を破壊することから、にきびに有効ではないかとの検討が行われ、その効果が証明されてアメリカでの承認を得た機械です。
当院ではレーザー製造開発メーカーのキャンデラ社より、国内で最初ににきび治療の評価を依頼され、多数の患者様の協力を得て、論文を執筆する機会に恵まれました。
その結果としては、約8割の、何をしても改善しなかったニキビに有効であり、他の治療との併用で、今までにない評価を得ることが出来ました。回数を重ねる毎ににきび自体の出現を減少させ、長期にわたって再発を予防する作用があることが分かりました。白にきび(コメド)にも有効であり、ケミカルピーリングでも除去できない頑固な皮脂詰まりを破壊できることは大きなメリットと考えています。
理論的には皮膚の浅い部分に高い熱のエネルギーを集め、皮脂腺を破壊し、また細菌も壊します。もともとスムースビームの波長は水に吸収されやすい波長です。ニキビのように炎症があれば、必ず正常組織よりも含水量は増えています。また目に見えないニキビの芽のレベルでも微小炎症が起こっており、この含水量の増加した組織をターゲットとしてレーザーが強く反応、熱破壊をするのではないかと最近では考えています。ですから外観上は白ニキビのようなものでも改善をすることができますし、含水量の増した皮脂腺が壊れるゆえに長期に渡って効果が持続できるのでしょう。ただし、全く炎症に関与していない皮脂腺そのものを破壊することはありません。皮脂抑制レーザーではないことはご留意ください。
もちろん元々しわ取り、にきび跡用のコラーゲン生成レーザー(正常な組織でもそれ自体は水分を含み、ある程度の熱効果が生じます)ですので、にきび跡にも有効ですが、熱量が少ないために劇的とはいかず、回数もかかりますし、残念ながらその効果は限定的です。
ただ、アメリカでも公認された最新の治療法であることは確かで、皮膚を傷つけないレーザーとしては、にきび跡の治療には最大の効果を発揮します。それゆえ、にきびが生じていて、さらにはにきび跡まで酷いという患者様には、一つの治療で両者を改善できるというメリットがあります。
副作用は1割程度の人に薄いシミができることがありますが、これはにきび跡のシミより薄いもので、美白剤の使用にて徐々に収まります。一番の問題は痛いことです。よって1時間前から麻酔のテープ、塗り薬を使用していただき、治療をします。
費用に関しては顔全体で2万円、一部の場合は1〜1.5万円で治療します。
治療回数は3週間毎3〜4回です。状況により追加していきます。
そして、効果の発現は即効性のある人もいますが、3回終了して何の変化もなかったのに、2ヶ月ほど経ってからにきびが出にくくなるという事も多く、おそらくは皮脂腺の破壊によって新しいにきびの元が絶えるのではないかと言われております。
もちろんスキンケアや内因性のもの(ストレスや睡眠、食生活)を改善しなければ、にきびに対する効果も半減します。