切開法による二重まぶた手術
二重まぶたの手術といえば埋没法という切らない方法が主流ですが、まぶたの厚い人や何度埋没しても外れる人、皮膚のたるみのある人には切開法が向いています。
当院でも、埋没法をして1年以上経って自然にラインが浅くなった人には切開法をお勧めしています。
この切開法には2種類の方法があります。
一つは部分切開法(または小切開法)、もう一つは全切開法です。ではそれぞれについて説明します。
部分切開法
部分切開法は、まぶたがある程度厚い人や、埋没をしても2〜3年で外れる人に適応します。また数年後に一重に戻るのは嫌だけど、仕事をしていて腫れの期間が短い方が良い、傷跡が気になるという人に向いています。
希望する二重のラインのちょうど中央あたりを7〜10mm程度切開し、皮膚やその直下の組織と、目を開ける筋肉の表面や硬い軟骨組織(瞼板)を縫い合わせます。強制的な癒着ですので、外れる可能性が少ないものです。手術をしてしばらくは一部の癒着ゆえに、下方を向いて二重のラインが薄くなる時に、癒着部だけが強くくぼんで見えるのが欠点です。もちろんこれは時間が経って周囲の腫れが収まれば目立たなくなります。いくら小切開とは言っても切りますので、抜糸などの通院が必要です。切った傷跡に関しては、きちんと形成外科的に縫合すれば、目立つことは殆どありません。
全切開法
全切開法は二重にしたいラインを全体にメスで切開し、部分切開法と同様、皮膚と筋・瞼板を縫いつける方法です。この最大のメリットは、どんなにまぶたが厚い人でも二重にすることができる点、そして老化によりたるんだ場合でも対応可能で、さらにはしわ取りにもなる点、目を開ける力の弱い眼瞼下垂という状態でも、この症状自体を改善するように手術できる点です。
ただ皮膚を切開するだけではなく、余計な脂肪を除去し、希望のラインを作り上げることが出来ます。
最大の欠点は長期に持続する腫れです。1ヶ月はかなり腫れますし、数ヶ月に渡って軽い腫れが持続します。切開の傷跡自体は二重のラインに隠れますし、あまり目立って困ったという経験はありません。もちろんノーメークで、顔を近づけ、ここを切ったんだよと言えば傷跡は分かります。
本来、この全切開法が正しい二重まぶたの手術であり、韓国などではかなりの確率でこの方法を実施します。私も実はこの方法が一番好きです。なにしろ確実ですし、最終的には綺麗なラインを作れます。
非常にまぶたが厚い人にはこの全切開法をお勧めしますが、ご本人が切ることに抵抗がある場合、埋没を実施して外れた時点で切開の覚悟を決めましょうというふうに話を進めることもあります。その場合は手術後数年の範囲なら、当院における埋没と切開の差額で治療をします。
しかし、切開する方法はやり直しが難しく、患者様と医師のコミュニケーションが取れていないとトラブルになります。手術が完璧でも、腫れが続く、希望と違うなど、実に様々な要因でトラブルにはなるものです。それゆえに、このような手術を実施する前には、きちんと医師と話し合う事が大事です。カウンセラーに任せるのではなく、全ての希望を診察する医師が拝聴し、実際の治療も行うこと、このことを心がけています。
手術というのは絶対ということは言えません。予想外の腫れや傷跡ということもあり得ます。ですから、事前にきちんとリスクを話し、さらにはご本人の希望をできるだけ理解して治療を進めるようにしないといけません。