まき爪(陥入爪)の治療・・・フェノール法
陥入爪は靴を履いたりすると痛みが伴ったり、時に化膿するやっかいなものです。そして多くの方がお悩みの病気でもあります。
フェノール法をホームページにて紹介して以来、多くの患者さんが来院されましたが、皆さんの評価は大変高いと感じています。
陥入爪の治療は、最近まで形成外科や皮膚科・整形外科で手術によって爪の根を取り去る方法が主流でしたが、これは1〜2週間靴も履けず、手術後の痛みは強く、非常に大変でした。私自身レーザーを併用したりして痛みを少なく、早く治るように色々工夫をしてきました(これらの試みは日本形成外科学会学術集会でも発表しています)。
また、爪に形状記憶合金やプラスチック板を張り付けたりして、矯正する方法もありますが、爪を四角く、かつ長く伸ばしてからでないと治療できない(実際にはここに至るまでに強い痛みがあるので、つい爪のワキを深く切ってしまうのですが)、治療が終わるのに長い時間がかかるなど幾つかの欠点もあります。
最近フェノールという薬品を用いてメスを使わずに爪の根を焼いてしまう方法が試みられています(別に私が開発した方法ではありません)。実際の手技は以下の通りです。
この方法によって皮膚を切ることがなく、縫ったりせずに治療が可能です。当日はサンダル履きで帰ってもらいますが、翌日から靴も履けます。1〜3日後からは入浴時に多少濡らしても構いません。痛みは当日くらいでしょうから、今までの手術と比較して圧倒的に楽な治療です。傷の治癒までは約2週間です。ご自分で消毒して軟膏を塗っていただきます。
では実際に完治する確率はというと、手術と大差ありません。ほとんどの方で完治します。
どうでしょうか。ご理解いただけましたか。この方法は保険で治療可能ですから1万円もかからないのです。是非お勧めします。私自身以前勤務していた病院で多くの方を治療しましたが、手術や矯正法と比較すると非常に患者さんにとって楽なようでした。通院も最低限では手術日(と場合により翌日)が必要なだけです。もし来院可能であれば治療後1ヶ月、3ヶ月後に来て下さい。
この方法がもっと普及すれば、特殊なクリニックでなくてもできる簡単な方法ゆえに皆さんの福音となると思います。
なお、手術は基本的に片足ずつになります。
最後に、この方法の最大の利点は、切らないこと、すぐ治療できること、翌日から靴が履けること、術後の痛みが少ないことです。欠点は、数ヶ月、爪の生えそろうまでは少し側面がでこぼこすることで、女性ならストッキングなどを引っかけることがあるでしょう。